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「月刊京都」2019年8月号
新元号「令和」の語源は、『万葉集』より600年古い、
中国・後漢時代の文人科学者・張衡(78~139年)作『帰田賦』だった!!
張衡は、今から1900年前の中国の科学者・数学者・天文学者で、詩人・芸術家でもあった人物。世界初の水力渾天儀(天球儀)をはじめ、風向計、地震感知器などの発明で知られるほか、驚異的な精度で円周率を計算したり、月食の原理を解明したりした。一方で彼は、賦(※)の名手としても知られる詩人で、文学者・芸術家であっただけでなく、官僚・政治家としても活躍した。
張衡が書いた『帰田賦』は、後年、編纂された『文選』という著名な詩集に収録されている。6世紀に南朝 梁の蕭統(昭明太子、501~531)によって編纂されたもので、隋・唐以前の代表的な文学作品が網羅されている。
新元号「令和」の出典は、正確に言えば『文選』ではなく、そこに収録された『帰田賦』である。その年代は『文選』よりさらに400年古い、紀元2世紀にさかのぼる。本書は、この『帰田賦』を中心に、張衡の短い「賦」のみを収録し、『文選』に漏れた作品も収録した。
※賦…中国の韻文のひとつ。対句によって構成されることが多いが、押韻の方法、句の字数、一編の句数に規定はない。戦国時代の楚に起こり、後漢の張衡の時代に流行した。
収録作品
『帰田賦』『温泉賦』『髑髏(どくろ)賦』『冢(ちょう)賦』
新書判 並製 128頁 定価463円+税