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「茶の湯文化学」第38号
末次平蔵家は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて長崎を拠点とした大貿易商で、また長崎代官も務める。巨万の富を築き栄華を誇った末次家だが、四代平蔵茂朝のとき、密貿易に関わったとして流罪、闕所(財産没収)処分となった。
本書は、歴代の事績を追い、「末次事件」の顛末を明らかにする。同時に幕府によって没収された家財の目録である「闕所御拂帳」に記された品目を詳細に分析することによって、対外貿易の様相と、長崎代官の持つ利権の実態をあぶり出すだけでなく、小堀遠州・金森宗和といった時の大茶人や黄檗宗の高僧たちとの交流、茶の湯を嗜み古筆蒐集を楽しむ末次家の日々の暮らしまでも復元。没収品目の詳細な解説は当時の価値観を知る手がかりとなる。
〈末次平蔵家〉
初代:末次平蔵(政直) 博多の豪商の次男として生まれ、朱印船貿易で富を得た。台湾のオランダ商館長ヌイツと紛争を起こした(台湾事件)。
2代・3代・4代と長崎代官を世襲。
4代:末次平蔵(茂朝) 使用人がカンボジアと密貿易を企てたことが発覚し、財産没収の上、闕所となった。隠岐に配流され、末次家は断絶
〈内容目次〉
寛永文化の中の末次平蔵 筒井紘一
第一部 末次事件と闕所御拂帳
第一章 長崎代官末次家について/第二章 史料に記された末次事件/第三章 闕所御拂帳について
第二部 闕所御拂帳目録/人名索引
〈著者プロフィール〉
永松 実
1950年生まれ。前長崎市歴史民俗資料館館長。かつて出島の発掘に関わり、また長崎くんちではテレビ解説などを行う。著書多数。
A5判 並製 約350ページ