茶の湯文化が花開いた安土桃山時代、革新的な茶陶を世に送り出した武将茶人・古田織部。織部好みの茶陶が、美濃や備前だけでなく、福岡県直方市の内ヶ磯窯でも焼かれ、しかも織部晩年の傑作の多くが生み出されていたことが近年の発掘調査で明らかになりました。「天下一の織部の隠し大窯」との伝承があるものの、歴史の闇に埋もれていた内ヶ磯窯。その伝世品や出土陶片を長年にわたり研究してきた著者が、桃山茶陶の真実に迫るべく、新たな考察を加えて書き下ろし。
著者の所属する九州桃山茶陶研究会の豊富なコレクションを始め、茶陶の銘品の数々を写真掲載します。昨年はこの内ヶ磯窯を御用窯として築いた福岡藩初代藩主・黒田長政の没後四〇〇年。茶人、茶陶好きのみならず、歴史通の読者にもお勧めの一冊。
【内容】
内ヶ磯窯の概要/渡り陶工と携帯轆轤/叩き板おこし成形/江戸期の現場絵図/吉兵衛の水指/3人の「印」/備前でも焼いていた/焼き物の傷/吉兵衛とは誰か/「茶陶の傑作」里帰り/古田織部と黒田長政/名工・別所吉兵衛/織部窯をめぐる群像/内ヶ磯窯 開窯の謎/備前焼と織部高取 等
A4判 並製 182ページ