信州の民話伝説初の本格集成・貴重な郷土資料 『信濃奇勝録』や『善光寺道名所図会』など、江戸期の重要文献から現代のサークル誌まで、多種多様な資料を駆使し、信州の民話を本格的に集成しました。
民話伝説の原形を尊重 現代における創作により民話伝説はその原形があいまいになりつつあります。それを省みて、文化遺産を伝承していくという方針のもと、信州に伝わる一万余の民話伝説から代表的な800話を厳選収録しました。
地域別に編集、全4巻構成 「土地の成り立ち」と地域の人々の「心の成り立ち」は切り離せないものとして、市町村別に区分して編集し、東信、北信、中信、南信と 大きなブロックで1巻ずつにまとめ、各巻200話ずつ収録しました。
大活字を使用、「読み聞かせ」にも好適 お子さまからご年配の方がたまでご愛読いただくために、大活字を使用し、難字にはふりがなを付しました。また、声に出して読むとさらに楽しさが増し、「読み聞かせ」にも対応できる内容となっております。
巨匠 滝平 二郎氏による装画 <きりえ>で有名な滝平二郎氏に装画を担当していただきました。巨匠滝平二郎氏の民話の心をひと目で伝える独特な作風が、本書の魅力をさらに高めています。
第3巻 中信編 (松本平、安曇野、木曽谷)
鳥居火(松本市島内) 松明で鳥居を山腹に造り先祖を祀る火祭。
兎の吸い物(松本市里山辺) 徳川家が元旦に兎の吸い物を食すわけとは。
火打石(松本市梓川) 火種づくりのこの石は、また境石であった。
袖留橋(松本市松本) 忠政は袖にすがる乳母を振り切り出陣した。
黒沢小僧(安曇野市三郷) 黒沢山に住んでいた黒沢小僧の伝説。
紅葉鬼神(安曇野市明科) 八面大王の妻、紅葉鬼神の最期とは。
日光寺の狐(安曇野市豊科) 下鳥羽の人たちに限って化かさなかった狐。
登波離橋(池田町) 女の業にからんだ登波離橋落しの物語。
大姥堂(大町市) 戦国時代、佐々成政が富山から伝えた大姥像。
牛立(大町市) 義経を追う静御前の足跡を物語る伝説。
大桜葦(白馬村) 白馬岳の魔王と麓の娘の悲恋物語。
タバコ穴(生坂村) 煙草の産地生坂に残る煙草密造岩穴。
嫁の泣き石(朝積村) お嫁に行きたくないと、しがみついた道の石。
仁王の股くぐり(波田町) 仁王様の股をくぐると子供が丈夫に育つ。
善知鳥(うとう)峠(塩尻市北小野) 山国の峠なのになぜ海鳥の名前なのか。
万蔵干し(塩尻市宗賀) 粟を干すのに最適な農法を考えだした万蔵。
玄蕃之丞狐(塩尻市塩尻) 桔梗ヶ原の大狐、稀代の化かしようのお話。
おぼろ(上松町) 人の背中におぶさろうとするものの正体。
みこしまくり(木曽福島町) 「ソースケ・コースケ」の掛け声で神輿を転がす奇祭。
らっぽしょう(日義村) 木曽義仲の火牛戦にちなんだ勇壮な火祭。
A5判/上製/452頁