前田靖一 著
第一次大戦後ドイツは国内総生産GDPに倍する国債を抱え、バターが五兆六千億マルクと桁違いのハイパーインフレを迎えた。日に五〇〇を超す人びとが餓死していく中で、銀行家で経済学博士シャハトは一兆分の一という驚愕のデノミを実施した。驚くなかれ、何もなかった店頭には野菜や肉が帰ってきた。ゼロが十二個つらなる一兆マルクのリンゴが、ゼロのない五個一レンテンマルクに変わった。これで伝説のシャハト神話が完成した。二十一世紀の日本は百年前に財政破綻したドイツと同じ道を進んでいる。
この歴史小説には、日本再生への多くのヒントが隠されている。
四六判 並製 352頁