日本図書館協会 選定図書に選ばれました
岡倉 登志 著
岡倉覚三(天心)(1863 ~1913)は、近代日本の黎明期における傑出した思想家、美術行政家、教育者、実践的評論家としてその名を残した。
文部省の図画取調掛を経て、東京美術学校校長、日本美術院の創設など、日本美術の近代化と覚醒に残した足跡は大きい。さらに関西を中心に古社寺調査をし、修復所美術院を設立、国宝・重要文化財の保護に尽力した。
また、晩年はボストン美術館東洋部長として活躍するかたわら、『日本の覚醒』『東洋の理想』『茶の本』の刊行など欧米に日本文化を紹介した影響力も無視できない。
歴史家であり曾孫にあたる著者が、これまでの様々な岡倉評を踏まえながら、その人と思想に迫る。
【掲載内容】
序 美術界巨星の死
第一章 誕生から大学卒業まで1863~80
第二章 西欧文化の受容 1869~87
第三章 教育者として 1889~1907
第四章 万国博覧会 1890~1904
第五章 インド 1901~12
第六章 中国 1893,1906~7,1908,1912
第七章 日露戦争前後――ボストン時代 1904~13
第八章 The Book of Tea『茶の本』1906
天心岡倉覚三 略年譜/あとがき/参考文献/人名索引
【著者プロフィール】
岡倉 登志 (おかくら たかし)
1945年生まれ。明治大学卒業。
1979~2011年度まで大東文化大学勤務。現在同大学名誉教授。
専門は19~20世紀のヨーロッパ・アフリカ関係。
岡倉覚三の曾孫にあたる。
主な著書に、『二つの黒人帝国』(東京大学出版会 1987 駿台史学会奨励賞)、『「野蛮」の発見――西欧近代の見たアフリカ』(講談社 1990)、『世界史の中の日本:岡倉天心とその時代』(明石書店 2006)、『岡倉天心――思想と行動』(吉川弘文館 2013)など多数。