日本図書館協会 選定図書に選ばれました
矢部良明 著
利休と秀吉によって茶の湯が世に浸透し、徳川の統治も安定する寛永4年(1627)仁科周覚は東本願寺系長徳寺に生まれた。後の山田宗偏である。幼少より茶の湯にめざめ、18歳で利休の孫千宗旦に師事、学問にも優れ、その著『茶道要録』『茶道便蒙抄』からは、織部・遠州の名声の陰にある利休・宗旦への敬慕が伺える。貴人・敬人・同輩・侘び茶人と別れた現実を直視し、茶の湯においてはこれらの四階層が合一すべきであるとした。宗旦から「不審庵」「今日庵」の庵号を授かっても、晩年まで千家への配慮に生きた宗偏の人と茶の思想に迫る。
【掲載内容】
はじめに
序 章 少年周覚を取り巻く文化環境
第一章 青年茶の湯者、仁科周覚
第二章 千宗旦の教え
第三章 茶の湯師範として小笠原家に仕官する宗.
第四章 宗偏の著作から宗偏の茶の湯を考察する
第五章 宗偏が指導する茶の湯点前
第六章 天目を用いた濃茶点前
第七章 宗偏が説く会席と薄茶の点前
第八章 宗偏の門弟たち
第九章 宗偏が制作した茶道具と文物
付:山田家系図・山田宗偏主要茶会記・山田宗偏門人譜・山田宗偏略年譜・人名索引
矢部良明(やべ よしあき)プロフィール
1943年神奈川県大磯町生まれ。東北大学文学部美術史科修了。東京国立博物館工芸課長、郡山市立美術館館長を経て、現在、人間国宝美術館館長。蒼庵主人。
主な著書に『千利休の創意 冷・凍・寂・枯からの飛躍』(角川書店、1995)、『古田織部 桃山文化を演出する』(角川書店、1999)、『武野紹鴎 茶の湯と生涯』(淡交社、2002)、『茶人豊臣秀吉』(角川書店、2002)、『茶の湯の祖 珠光』(角川書店、2004)、『武将茶人 上田宗箇』(角川学芸出版、2006)、『エピソードで綴る茶入物語』(宮帯出版社、2011)、『エピソードで綴る戦国武将茶の湯物語』(宮帯出版社、2014)、編著に『角川日本陶磁大辞典』(角川学芸出版、2011)など多数がある。
四六判 330頁 口絵カラー8頁 上製
※本ページでは様々なwebブラウザを考慮して表記に「偏」の字を用いていますが、正しくは「彳」+「扁」となります。