古田織部美術館 編
古田織部好みの焼物は中部地方の美濃焼(織部・志野)と九州の唐津焼が中心だが、九州にはもう一つ、知られざる名陶高取焼がある。
その様式は他地域の織部好みと極めて似ており、窯印も同一のものがある。このことから陶工が移動して造ったことが考えられ、織部様式が全国に広く伝播していたことが窺える。興味深いのは、それらが美濃の技法を完全に踏襲しているのではなく、ところどころに加味された違いの中に、当地の大名たちの好みを見て取ることができる点である。
本書では、美濃と高取を中心に、同じ形状の焼物や同じ窯印のものを隣り合わせで掲載することによって、そうした類似と差異の面白さに光を当てる。
古田織部の下で活躍した陶工たちや焼物商の実像が浮かび上がる。
〈内容目次〉
第一章 「織部高取」を焼いた鷹取焼焼内ヶ磯窯
第二章 高取焼内ヶ磯窯と各地の窯印の比較
第三章 高取焼内ヶ磯窯の出土品(小山コレクション)
〈付録1〉古田織部関係陶工の窯印
〈付録2〉「をはりの花 風の章」瀬戸の陶工印
〈付録3〉「別所吉兵衛一子相伝書」抄
高取焼内ヶ磯窯と古田織部ゆかりの陶工
高取焼内ヶ磯窯と渡り陶工
A4判・48頁・並製