彼らはまだ、「戦」を知らない。
太平洋をのぞむ豊穣の地、ガルシバを舞台に、壮大なスケールでおくる縄文叙事詩。
この物語は、成熟した縄文時代から弥生時代に移行しつつある時、ガルシバと呼ばれた日本のある地方に住んでいた縄文人の話である。
豊かな森と海、湖に囲まれ仲間とともに狩猟、採集で生活するガルシバの人々。自然の恵みに感謝を捧げ、数多の生きものと共生し豊かな日々を送っていた。『カリタパンテ』(神の意思)に従い、柔軟な発想から新たなワザを生み出し、世界を広げてきたかの地にも、「米」と「欲望」、そしてそこから生み出される「支配」と「戦」の影が忍び寄る。
余剰とクニ意識が誕生する大きな歴史の転換点を彼らはどう生き延びるのか。未来への希望を灯す長編小説。
【著者】
由木 立司(ゆき たつじ)
1946年 鳥取県境港市生まれ
1964年 東京都立両国高等学校 卒業
1969年 東京大学工学部 卒業
1969年 日立製作所 入社
1970年 日立製作所 退社
1970年~ 日立プラント等で現場の工事監督
2014年 小説『粒子間飛行』(文芸社)
四六判 並製 416頁