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「茶の湯文化学」40号
明治から大正にかけ、三井財閥の重鎮として数々の功績を残した三井物産の初代社長・益田孝(鈍翁)。国宝級の書画・古美術品を購入し、明治・大正期に流出した茶道具の「名物」や仏教美術などを各界名士を集めた茶会で披露。根津嘉一郎、高橋義雄(箒庵)、小林一三ら当時の財界人の間に古美術蒐集と茶の湯を流行させ、美術鑑賞を主眼とした独自の茶風を壮大なスケールで展開した。本書では、鈍翁の数寄者としての活動に焦点を当て、データ分析の方法で鈍翁の茶の湯の実態に迫る。
[目次]
序論 課題と方法/益田孝の生涯
第一章 益田鈍翁の茶友たち
鈍翁の茶客/茶客のネットワーク/鈍翁を招いた亭主/相席者のネットワーク/益田鈍翁追善茶会
第二章 益田鈍翁と大師会
大師会の立ち上げ/茶席の開席者の検討/益田鈍翁の出品/出品者の検討
第三章 益田鈍翁と茶の湯
茶の湯の舞台/茶道具データベース/道具組と趣向/茶界の広がり
第四章 益田鈍翁の懐石
懐石データベース/「食物博士益田鈍翁」/茶客の反応/食器・酒器コレクション
第五章 益田鈍翁と美術品
道具類の入手/三十六歌仙絵巻の分割/名品の采配/社会文化事業の推進
おわりに
巻末付録 年譜/益田鈍翁写真集/参考文献/あとがき/人名索引
齋藤康彦(さいとう・やすひこ)
1947年生まれ。山梨大学教育学部卒業、東京教育大学大学院修士課程修了、筑波大学大学院博士課程単位取得満期退学。山梨大学教育学部講師、助教授、教授を歴任。2013年退官、山梨大学名誉教授。専門は近代日本経済史。著書は、『産業近代化と民衆の生活基盤』(岩田書院 2005)、『地方財閥の近代 甲州財閥の興亡』(岩田書院 2009)、『近代数寄者のネットワーク 茶の湯を愛した実業家たち』(思文閣出版 2012)、『根津青山―「鉄道王」嘉一郎の茶の湯』(宮帯出版社 2014)、『小林逸翁― 一三翁の独創の茶』(同 2018)、『高橋箒庵― 近代数奇者の語り部』(同 2020)など多数。
四六判・上製・430頁(カラー口絵4頁)