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「茶の湯文化学」第38号
千宗旦は利休の侘び茶を継承し、小堀遠州は武家茶道を華やかに展開し……。江戸初期に生きた二人を対比する。 現代茶道の二大流派ともいうべき千家茶道と武家茶道。その礎を築いた千宗旦と小堀遠州を比較し、その実像に迫ります。 千利休の孫で、茶の湯で生計をたてる千宗旦は、それゆえにふところ事情は苦しく、ときに利休の道具を売りつつ、利休の侘び茶の理念を継承します。一方の小堀遠州は大名として安定した日常を送りつつ、時代のプライスリーダーとして茶道具の価格を吊り上げ、豪華な茶の湯を展開しました。江戸時代初期、茶の湯界に千家流と武家流の二大流派のもとを築いた宗旦と遠州。その二人を、経済、美学、理念、茶室、茶道具、茶友など、さまざまな観点から比較検証します。【 目 次 】はじめに第一章 祖師への憧憬と現実の経済事情 武野紹?と千利休への憧憬/古田織部への宗旦・遠州の対応/宗旦と遠州の経済事情第二章 宗旦と遠州―その美学と茶風の相違 宗旦と遠州が拠って立つ美学/鎖の間・茶屋における相違/茶道具観の相違/名物への関心度/会席料理に関する相違第三章 宗旦と遠州の茶友と継承者 宗旦と遠州をめぐる各界の茶友たち/二人の系統を継承する山田宗偏と金森宗和おわりに 茶道界に二大流派を築いた宗旦と遠州【著者プロフィール】矢部良明(やべ よしあき) 1943年神奈川県生まれ。東北大学文学部美術史科修了。東京国立博物館工芸課長、郡山市立美術館館長、人間国宝美術館館長などを歴任。蒼庵主人。陶磁器・茶道史研究家。 おもな著書に『千利休の創意 冷・凍・寂・枯からの飛躍』(角川書店 1995)、『茶人豊臣秀吉』(角川書店 2002)、『茶人小堀遠州の正体』(角川選書 2017)、『魅惑の桃山茶の湯―利休・秀吉・織部の革新』(宮帯出版社 2019)などがある。四六判/並製/336頁