現在、茶道は、お茶の点て方などを習う「稽古事」のひとつとなっている。しかし、桃山時代から江戸初期にかけて、千利休・古田織部・小堀遠州らが展開した茶の湯は、それぞれの美意識に基づいた芸術性・独創性の高いクリエイティブな茶の湯だった。茶道史研究の第一人者である筆者が、〝流儀〟と〝アート〟という茶道の二面性を読み解き、茶道の正体に迫る。抹茶の歴史や製法、禅との関係、喫茶文化、茶道具とその価格の変遷など、知っておきたい茶道の知識も網羅。茶道文化への造詣を深めることのできる一冊。
《本書の内容》
第一部 茶の湯、その芸術活動
第一章 心に染みる抹茶の美味しさ/第二章 芸術の道を歩む茶の湯/ 第三章 禅と茶の湯/第四章 金銭が物語る茶の湯の発展/第五章 珠光茶の湯の遺産/第六章 茶の湯を大成したのは、武野紹鴎? 千利休?/第七章 ファッションの茶の湯の系譜― 秀吉から織部・遠州・宗和へ
第二部 茶の湯、伝統芸能への道
第一章 茶の湯流儀が成立する様子/第二章 流儀と点前/第三章 流儀と茶室/第四章 流儀と茶道具/第五章 流儀を離れ、数寄風流する茶人たち
著者プロフィール
1943年神奈川県生まれ。東北大学文学部美術史科修了。東京国立博物館工芸課長、郡山市立美術館館長、人間国宝美術館館長などを歴任。蒼庵主人。陶磁器・茶道史研究家。
おもな著書に『千利休の創意 冷・凍・寂・枯からの飛躍』(角川書店 1995)、『茶人豊臣秀吉』(角川書店 2002)、『武将茶人 上田宗箇』(角川学芸出版 2006)、『エピソードで綴る名物物語』(宮帯出版社2016)、『魅惑の桃山茶の湯』(宮帯出版社 2019)、『宗旦vs.遠州』(宮帯出版社 2021)、『秀吉vs.利休』(宮帯出版社 2022)、編著に『角川日本陶磁大辞典』(角川学芸出版 2011)などがある。
四六判・416頁・並製